#117 水の種類いくつ言える?化学プラントの「水」入門
#117 00:21:37

#117 水の種類いくつ言える?化学プラントの「水」入門

#科学系ポッドキャストの日 の共通テーマ「水」に関連して、化学プラントで使う様々な水を取り上げてみました!

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はじめに:化学プラントと水の多様性

こんにちは、かねまるです。

プラントライフは、化学プラントの技術者が、化学を軸に皆さんの視野を広げていく番組です。

今回は、「科学系ポッドキャストの日」という企画に参加しております。

科学系番組も、そうでない番組も含めて、共通テーマに沿って話す企画です。

毎月、ホスト番組が決まっておりまして、

8月のホスト番組は、「目から鱗の理科ラジオめからじさん」です。

めからじさんが決めた今回の共通トークテーマは、「水」。

8月1日は水の記念日だということで、

農業にも工業にも水は必要。水がなければ宇宙進出もできない。

お茶も温泉も水が基本。そんな大事な水のこと、改めて考えてみませんか。

とのことで、化学プラントっていうのは水を使います。

たくさん使うのはもちろんのこと。

いろんな種類の水を使って、いろんな用途で使っていきます。

今回はそんな化学プラントで使う水についてお話ししていきます。

身近な水の振り返り

まずは、私たちが使う身近な水を振り返ってみましょう。

水道水が一番わかりやすいですね。

飲み水として使えます。

地方自治体で処理されたきれいな水、浄水と言います。

これを使って料理をしたり、飲み水として使ったり、洗い物にも使いますね。

水の中にはカルキが入っています。

人によっては浄水器でカルキを取ったり、細かい微粒子を取り除いたりして、もっときれいな水を飲んでいる方もいらっしゃいますよね。

ミネラルウォーターの中にはカルシウムとかマグネシウムとかイオンの成分が入っています。

硬水と言いますね。

どこの水を持ってくるかによって入っている成分が異なります。

温度を見てみますと、氷とかお湯とか、水の使い方は温度によっても変わります。

あと忘れてはいけないのは汚れた水のこと。

例えばトイレの水とか、洗い物の流しの水とか、下水と呼ばれるものですね。

一度整理すると、水を持ってくる場所によって浄水・下水、場合によっては山水とかもありますね。

あとは温度、氷とお湯、水蒸気もあります。

そして水の中に入っている成分でも変わりまして、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分ですとか、水道水だとカルキも入っていますね。

十分きれいになっていないと微粒子が入っている可能性もあります。

そんな形で水にもいろんな要素があります。

こういう要素で化学プラントではもっと細かく使い分けが行われています。

化学プラントにおける工業用水とその初期処理

まずは化学プラントの水をどこから持ってくるかという話をします。

とにかく大量に使います。

基本的に私たちが使う飲み水は使っていません。

主に使用されるのは工業用水と呼ばれるものです。

飲み水ほどきれいにはしてないけど、最低限の処理はされている水のことです。

川の水とか地下水とかから取ってきた水っていうのはかなり汚れていますので、

それを最低限使える形まできれいにしたものが工業用水です。

飲んではいけません。

工業用水として処理したものをもらう場合もあれば、

各プラントが独自で水処理施設を持っていて、

直接川とか地下水から水を集めて独自で処理して使っている場合もあります。

自社で処理する場合も、工業用水をもらう場合も、

どちらにしても飲料水よりは安いというメリットがあります。

飲めるレベルまできれいにしてないから安いんです。

川とか地下から最初に持ってきた水っていうのは汚れていますので、

主には凝集沈殿という処理をしてきれいにします。

細かい汚れや微粒子を集めて、ある程度大きな塊にする薬剤を入れます。

凝集剤と言うんですけど、

その凝集剤で集まった汚れを下に落として沈めます。

沈殿と言います。

こうして汚れを集めて、沈めて、上に残ったきれいな水を使います。

最低限きれいにされた工業用水を基本的に使っていくんですけど、

高度な水処理技術:純水と超純水

それだけでは足りない場合もあります。

大量に処理しますので、よく使われるのが砂ろかというものです。

凝集沈殿では取り除けなかった細かい塊の成分を砂ろかによって取り除けます。

多くの場合はここまでやるとだいたい使えるのは使えるんですけど、

製品に入れるようなきれいな水が欲しい場合は、もっと処理をしないといけません。

中に入っているイオンの成分を取り除きたいとき、逆浸透膜というものを使ったりします。

細かい穴が開いた膜でろ過する方式なんですけど、圧力を思いっきりかけて膜を通してろ過します。

もしくはイオン交換樹脂という水の中に入っている陽イオンとか陰イオンを取り除くような樹脂を通して、

それで不要な成分を取り除くという方法もあります。

このあたりのヨシアシっていうのは取り除きたい成分によって変わってきます。

こうしてきれいな水は一般的には純水と呼んでいます。

だいたいここまできれいにしたらOKなんですけど、もっときれいにしたい場面があります。

分析のところです。

純水をさらに処理して、イオンとか有機物とか微粒子に微生物など様々な成分をとにかく排除して、分析するために使える超純水というものを作ります。

そもそも分析機器っていうのは、中に入っている不純物をとにかく取り除いてノイズをなくさないといけません。

測定したものが不純物に由来すると、正しく測定できていないということになってしまいます。

そういうとにかくきれいな水が欲しいとき、超純水というものを使います。

人によってはブランド名であるミリキューという言い方をする方もいらっしゃるかもしれませんね。

超純水の応用例:半導体製造と熊本の水資源

ちなみにこの超純水、製品に使う場合もあります。

一番わかりやすいのが半導体です。

クリーンルームで製造して、とにかく汚れを許さないもの。

その洗浄水として超純水が使われます。

余談ですけど、熊本にTSMCという半導体の受託製造の大手の会社が工場を建てました。

なぜ九州熊本なのかというと、とてもきれいな水資源がたくさんあるからです。

熊本には阿蘇山という山がありまして、その火山の地層できれいにろ過された地下水がたくさんありまして、それを使うことができます。

水処理にかかるお金をかなり削減できますので、熊本っていうのは半導体製造にすごく向いた地域であるということが言えます。

温度管理のための冷却水:3種類の使い分け

今度は水を温度に分けて考えてみます。

化学プラントでは加熱をたくさん行います。

加熱して蒸留させたり、温度が高いほうが反応性がいいのでなるべく高く加熱したり、反対に温度を整えるために冷却したり、蒸留した蒸気を冷やしたり、加熱冷却というのは大量に行われます。

まず冷却から見ていきますと、冷やすのに3種類の水を使い分けています。

だいたい30度くらいの水と、5度から10度くらいのさらに冷えた水と、マイナス十何度くらいのもっと冷えた水。

この3種類ですね。

中に入っている水とか、使っている装置が異なります。

冷やせば冷やすほどお金を使いますので、だいたいは30度くらいに冷やした水を使います。

冷却にはクーリングタワーというものを使います。

水を上から降らせて、シャワーのように落としながら外気と触れさせます。

そうすると一部の水は気化して、その気化熱で周りの水を冷やしていきます。

その気化熱で冷却をしています。

だいたい5度くらい温度が下げられるんですけど、その関係で夏場でもだいたい30度くらいの水が使われています。

とにかくシャワーをさせて外気と触れさせれば良いので、大量に使えます。

クーリングタワー自体は結構大きくて、3メートルくらいの小さい高さのものもあれば、何十メートルという箱型の結構大きいタイプもあります。

原子力などのかなり処理を必要とするものについては、ものすごくでかい筒みたいなものが立っています。

全部原理は同じでして、処理の量に合わせてサイズとか形状が変わってきます。

このクーリングタワーで冷却できないほどの温度に下げたい場合、基本的にはチラー水というものを使います。

冷凍機と言ったりしますけど、主にはエアコンと同じ原理のものが使われます。

冷媒を圧縮したり膨張させたりして、温度を変化させて熱交換することで冷却します。

この冷却させる冷凍水を水にするとだいたい5℃から10℃くらいにしますかね。

水が凍っちゃうので、0℃以下にはもちろんできません。

じゃあもっと冷やしたい、0℃以下にしたい場合っていうのは、ブラインという水じゃないものを使います。

正確に言うと、水の中に塩化カルシウムのような塩を入れて、融点を下げます。

つまり、マイナスまで冷えても凍りにくい液体に変えます。

ブライン冷凍機を使うことで、マイナス何十度っていう温度まで下げられるようになります。

これはかなりお金を使いますので、必要な時だけ使用されます。

加熱に用いられる蒸気とその再利用

今度は加熱側を見ていきましょう。

基本的に化学プラントの加熱は蒸気を使います。水蒸気です。

ボイラーのバーナーの熱で熱された水を蒸気に変えて、その蒸気を配管を通して化学プラントのいろんな設備に供給します。

蒸気っていうのはすごく熱を伝える効率が良くて、凝縮熱って言うんですけど、

水蒸気から水に変わるときに一気に高い熱量を与えることができるので、

単純にお湯を使うよりも熱を伝える効率が良いんです。

そして蒸気っていうのは100度ではないんです。

だいたい水の沸点は100度で、そこから温度が変わらないイメージがあるかもしれないんですけど、

圧力をかけてあげれば100度を超えて高い温度にすることができます。

圧力をかけたら蒸気の温度を200度くらいにすることもできます。

こうやってボイラーで加熱して、圧力をかけて高い温度の蒸気で加熱をします。

加熱に使った蒸気っていうのは、熱を渡して液体の水に戻ってしまいます。

ボイラーで使う水は綺麗なので、その水はもう一回使います。

プラントの人は蒸気ドレンって言ったりします。

この蒸気ドレンをもう一回加熱して蒸気にしたり、

場合によってはもう温められている水なので、熱源のある水として別のところに使ったりもします。

その他の用途:飲料水、排水、安全対策用の水

最後に工場での製造以外で使われる水を紹介していきます。

もちろん飲料水もあります。

製造で使う純水とか工業用水とは、配管など設備が分けられます。

反対にトイレとか手洗い、食堂などの水も出てきます。

ちなみに、こうした生活で出てくる排水と他に、製造に伴って出てくる排水もあります。

こちらには入っている成分が製品由来の化学物質が多いので、別で分けて特別な処理をたくさん行って排水します。

そして化学プラントで忘れてはいけない水は、安全対策用の水です。

火事になった時の消火用の水、スプリンクラーとか消火栓で使う水ですね。

危険物を扱う設備があって燃えやすかったり敷地が広かったりしますので、水源の確保にポンプと配管の設置など消防設備として管理されています。

ですので消火潜水もしくは消火用水として特別な水として管理されています。

化学物質が目についた時の対策も必要ですね。

すぐ洗い流すための緊急のシャワーとか洗顔用の水。

緊急水潜水って呼ぶ方も多いですけど、こうした水も用意しないといけません。

まとめ:化学プラントにおける水の重要性

ということでたくさん水が使われます。

なくなったらえらいことになりますよね。

今回は化学プラントで使う水を紹介してきました。

凝集沈殿に砂ろか、イオン交換にアールをまく。

いろんな処理をしてきれいにしていきます。

そして加熱冷却においては、冷たさの全然違う3種類の水を使ったり、

蒸気も圧力を変えて100度を超える温度で加熱していました。

ただの水だとしても、緊急水潜水に消火用水、安全のために確保していく水もありました。

化学プラントではこうして大事な水をさまざまな用途で使用しています。

クーリングタワーに冷凍機にブライン冷凍機。

冷却が3種類あるっていうのは、ぜひ豆知識として覚えてみてください。

エンディング

今回はここまでです。

プラントライフでは化学や工場に関するトピックを扱っています。

配信は毎週水曜日と日曜日の朝6時を予定しています。

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もし興味があれば覗いてみてください。

それではお聞きいただきありがとうございました。