#82 社会を支え続けるバルブの話
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#82 社会を支え続けるバルブの話

#科学系ポッドキャストの日 の共通テーマ「社会」に関連して、社会を支え続けるバルブの話をしました!バルブの歴史や調節方法の変化、進化のきっかけとなった素材まで幅広く話しています。共通テーマ「社会」のプレイリストはこちら!

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はじめに:化学系ポッドキャスト共通テーマ「社会」とバルブ

こんにちは、かねまるです。 プラントライフは、化学プラントの技術者が、化学を軸に、皆さんの視野を広げていく番組です。

今回は、「化学系ポッドキャストの日」という企画に参加しています。 毎月、化学系番組も、そうじゃない番組も含めて、何かひとつ共通テーマに沿って話す企画です。

毎月、ホスト番組が決まっておりまして、4月のホスト番組は、佐々木亮の宇宙話。 毎日、宇宙に関するポッドキャストを配信されている、この番組。

ついに、2000回放送を迎えるそうです。 今収録しているのが、4月5日日曜日。

この時点で、前日に1998回が収録されておりまして、おそらく日曜日、この日は1週間の振り返りということで、日曜特集が組まれています。

そして、その日曜特集が終わって、月曜日、2000回の記念放送があるだろうと思います。

先に、亮さん、2000回おめでとうございます。

さすがにここまで来ると、絶対配信すると思うので、先にお祝いさせていただきます。

そんな、佐々木亮の宇宙話さんが決めた、今回の科学系ポッドキャスト共通テーマは、社会です。

AI、GPS、スマホなど、社会を変えた科学がテーマ。

誰でもテーマに沿えば参加自由、とのことです。

自分の中で、社会を変えた科学っていうのは色々あるんですけど、そういうものをいくつか、もうすでに配信しています。

例えば、リチウムイオン電池とか、触媒の話もそうです。

あとは、石油化学っていうのも、やっぱり社会を変えてると思いますね。

じゃあ、今回何の話しようかなって、色々考えてて、自分の仕事とか身の回りで欠かせないもの、そういうものが社会を変えてると考えたんですけど、バルブかなと思いまして。

私の職場は化学プラントです。

液体とか、気体を配管で流して、それを止めているのがバルブです。

すごく地味なんですけど、今回はバルブの話をしようと思います。

バルブの話なんてしてるポッドキャスト番組ないでしょう。

それでは、いきます。

バルブの基本:種類と身近な例

まずは、そもそもバルブって何なのかっていう話からしますけど、一番身近にあるのが水道の蛇口ですね。

栓をひねると水が出てきて、閉めると水が止まる。

そういう流れを止めたり、動かしたりするのがバルブです。

同じような役割で、ガスの元栓なんかもそうですね。

水道の蛇口とガスの元栓を比べてみると、ガスの元栓の方は、気体の流れを完全に止めるのと、100%流すのと、その2種類だけですね。

開け閉めだけです。

それに対して、水道の蛇口っていうのは、100%開けるというよりは、必要な流れの速さに合わせて開ける量を調節してる感じがしますよね。

バルブにも種類があります。

開け閉めだけなのか、流れの速さを調節するのか。

そして実は、その2つだけじゃなくて、バルブには見えないところで逆流を防止するバルブと、流れの方向を変えるバルブ、大きくは4種類あります。

バルブの種類を知ったところで、今度は歴史を見てみましょう。

バルブの歴史:古代ローマから産業革命へ

私もあまりバルブの歴史って意識してなかったんですけど、古代ローマからあるみたいですね。

用途は水道のバルブです。

昔のバルブがどんな形をしてたかというと、筒なんですよね。

ただの筒じゃなくて、その筒を縦に置いて、まっすぐ貫通させたような形をしています。

その貫通した部分がある筒を水道管の途中に垂直に入れて、その筒を90度に回して使います。

貫通している穴が水道管の流れの向きと一致していると、水が流れます。

90度回して貫通している穴と水の流れが一致していないと、水の流れを止めることができます。

この機構、現代のバルブとかなり似ていまして、形は違うもののボールバルブっていうバルブにすごく似ています。

ものすごく単純化して話すと、昔は筒を貫通させてバルブとしていたものを、今はボールを貫通させてバルブとしています。

なんでボールになったのかっていうと、おそらくなんですけど、球体の方が圧力とか温度に耐えられるとか、ちっちゃく作れるとかっていうのが理由なんだと思います。

ただ、金属加工の精度が求められるバルブですので、現代の技術によってやっと普及が進んだっていうことになります。

もう一つ、古代ローマの時代に使われていたバルブが、逆流を止めるバルブ、逆止弁というものです。

当時はスイング式というものが使われていたみたいですね。

これは現代でも主流の逆止弁の機構なんですけど、ゴミ箱の蓋みたいな形でパタパタ開け閉めできるような機構になっています。

ゴミ箱の蓋も上に開けられるけど、下に押し込むことってできないですよね。

ある一定方向から力がかかった時だけ開く。それがスイング式の逆止弁の原理です。

逆止弁も大事な役割を果たしてまして、静鉄をする時に空気を送り込む、吹い後も逆止弁が使われています。

最初に筒状の開閉のバルブとか、スイング式の逆止弁が使われるようになってから、それ以降はあまり技術の進歩っていうのがなかったみたいですね。

そこから大きく発展していったのは産業革命の頃です。

自動制御の幕開け:フライボールガバナとフィードバック制御

蒸気機関の普及に伴って、機体である蒸気を細かく制御する必要が出てきました。

逆止弁なら逆流した時に早く閉めれるようにしたいとか、開け閉めするバルブだったら閉めてる間に絶対漏れないようにしたいとか、どんどん要求が高度になってきます。

この時に様々なバルブが考案されたりしているんですけど、個人的に一番印象深いのがフライボールガバナというバルブの調節する機構なんです。

蒸気を動力として使うということは、その動力をうまく制御しないといけません。

蒸気が思いっきり流れたら速くなるし、ゆっくり流れたら遅くなるという単純な機構なんですけど、それをどうやって調節するかが肝になってきます。

その調節する機構が遠心力を使ったものだったんです。

形としては、人が両手で重りを持って、ちょっと手を広げて立っているような形をしてまして、体の胴体の部分が軸になります。

蒸気が速く流れると軸が速く回って、人が速くぐるぐるって回ると、手に持っている重りが遠心力で外側に広がっていくと思います。

反対に回転数を落として体をゆっくり回すと遠心力が少なくなって、手の広がりが抑えられます。

そういう違いを利用して、蒸気の流れが多くて、手が開いたときはバルブをちょっと絞る。

蒸気の流れが遅くなって、手が閉じてきたらバルブを開ける。そんな機構になっています。

実際の流れの速さに応じてバルブの開閉をする。

こういう制御の仕方をフィードバック制御と言いまして、現代ではものすごく使われている非常に代表的な制御の仕方です。

今の流れの状態を見ずに単純にバルブの開閉だけで調節するんじゃなくて、今どんな状態になっているかっていうのを確認しながら調節しています。

水道の蛇口を開けて流れすぎてるって思ったら、少し閉めてちょうどいい流れの速さに調節するっていうのと同じような仕組みです。

蒸気機関が発展していって、だんだんと自動制御の時代に入ってきました。

先ほどのフィードバック制御です。

気体や液体の流れを見ながら、自動的に目的の速さになるようにバルブを開閉して調節する。

この作業がメカ的な機構じゃなくて電気的に行われるようになってきます。

とはいっても、電気的に変わっていったのは、バルブを開け閉めしますよっていう信号とか、

今どれくらいの速さで気体や液体が流れているかを測定するセンサーとか、

現代のバルブ制御:電気化とDCSシステム

あとは調節するための演算装置とか、そういうものが電気的になってきます。

実際にバルブを開け閉めしたり、開け閉めの量を調節したりするというのは、空気圧が一般的です。

電気でバルブを開けてくださいっていう信号を出して、それに応じて空気圧でバルブを動かします。

ハンドルが空気圧に変わったっていうことです。

こうした電気による調節操作ができるようになったことで、遠隔操作ができるようになってきます。

それも制御室みたいな場所で、一箇所から指示が出せるようになります。

発電に化学産業、大規模なプラントを運営しやすくなってきます。

この運営を支えているのがDCSというシステムです。

実はこのDCS、結構昔に紹介をしておりまして、

シャープ9番、化学プラントの指令と、DCSを知れば見えてくる工場の裏側という回で詳しくお話をしています。

DCSというのは、簡単に言うと、大量のセンサーのデータを集めて、山のような計算をして、

たくさんのバルブとかポンプを操作するというものになります。

人はこれぐらいの速さで制御したい、という流量の値を設定すると、

あとはDCSが自動的に流量計の値を読み取りながら調節するバルブに、

これぐらいの空き具合で調節してください、という指示を出してくれます。

遠くにあるバルブも、何万とあるバルブも、DCSのおかげで遠隔で操作するようにできるんです。

この制御室、コントロールルームと言ったりもしますけど、やっぱりかっこいいんですよね。

私も化学プラントにおりまして、こういう場所で仕事をすると楽しいです。

とは言っても、ずっとそこにいるわけじゃなくて、基本はオフィスなんですけど、

何かあるときにその部屋に行って、触ったりなんかできると楽しいですよね。

転職して今はもうないんですけど、昔はDCSのプログラムを改造したりもしていました。

だんだんと自動制御の話に変わっていっちゃいましたけど、

最後にバルブで大事な要素であるシール材というものの話をしたいと思います。

バルブの進化を支えた素材:PTFE(テフロン)

バルブは液体や気体の流れを止めるっていう役割があるので、

閉めたときに漏れ出ちゃダメなんですよね。

とは言っても、金属だけで密閉するっていうのはかなりの難易度の高さになりますので、

シールというものを使います。

身近な言葉で言うとパッキンですね。

金属単体で密閉するんじゃなくて、

間に柔軟性のある素材を敷き詰めて密閉させます。

このシール材の成長、つまりバルブの密閉性向上に大きく貢献したのがPTFE、テフロンです。

化学的に安定で薬品の耐性が強いので、化学プラントでも重宝しています。

そして温度にも耐性があって汚れにくい。

何より滑らかで滑りやすいので、動く箇所のシールにも使えます。

このPTFEの普及のおかげで、最初の方で話したボールバルブというものが一気に普及するようになりました。

90度ハンドルを回すだけで開閉できる楽さ。

そして完全に開けてしまうとただの配管みたいに振る舞えるような、中に何も残らないっていう大きいメリットがあります。

まとめ:バルブの進化と今後の展望

他のバルブだと、例えば仕切りみたいなものが残っていたりとか軸が残ったり、流れの途中に余計なものが残っちゃうんで邪魔になるんですよね。

そういうのがボールバルブにはないっていう大きい特徴があります。

バルブの進化を支えたのは、実は素材の進化が隠されていました。

今回はバルブについてお話ししましたが、まだ話したりないことがいっぱいあるんですよね。

仕事柄いっぱい調べたりして、知識があるんでいろいろ喋りたくはなるんですけど、変に発散しない程度で済ませておこうと思います。

意外と古代ローマの時代から大きく機構は変わってないんだなっていう話とか、産業革命で一気に進化したっていう話とか、

そして素材、PTFE、つまりテフロンがバルブの進化を支えていたっていうことを覚えて帰ってください。

今回はここまでです。

プラントライフでは化学や工場に関するトピックを扱っています。

配信は毎週水曜日と日曜日の朝6時を予定しております。

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それではお聞きいただきありがとうございました。