#90 猫砂の主役、ベントナイト〜水を吸って膨らむ粘土の化学〜
今回は #科学系ポッドキャストの日 の共通テーマ「ねこ」に関連して、猫砂に使われるベントナイトについて話してみました。
参考資料
文字起こし
はじめに:猫とベントナイト
こんにちは、かねまるです。 プラントライフは、化学プラントの技術者が、化学を軸に、皆さんの視野を広げていく番組です。
今回は、「化学系ポッドキャストの日」という企画に参加しています。 化学系ポッドキャスト番組も、そうでない番組も、共通テーマに沿って話す企画です。
今回の共通テーマは、「猫」です。 このテーマを出してくれたのは、けいちゃんまーくんのドタバタグッドボタン。
共通テーマは、にゃんにゃんと猫。 寝転がりながら語るも、化学の猫を語るも、猫様を語るもよし、とのことで。
化学で猫の話って難しいなーって思いましたけど、今回は猫の排泄物を吸収したりしてくれる、猫砂の話をします。
猫砂には、ベントナイトという粘土鉱物が使われておりまして、このベントナイトについて話をします。
ベントナイトとは?その正体と主成分
ベントナイト、聞いたことありますかね?
猫を飼っている方だったら、猫砂のパッケージで見たことがあるかもしれません。
鉱物系とかベントナイトとか、変わる猫砂みたいな感じで表示されていると思います。
でもベントナイトって、ただの鉱物の砂ってわけではなくて、水を吸って膨らむ特殊な粘土鉱物なんです。
ただ、猫の排泄物を吸うだけだったら、ティッシュとかスポンジでも極論いいと思いますけど、
そういうわけではなくて、水を吸ってドロドロに広がったり、ベチャッとなって崩れたり、そういうことが起きたら困るわけです。
この困りごとを解消してくれるのが、ベントナイトというものなんですけど、
ベントナイトは数百万年前から数億年前の火山の噴火で積み重なった火山灰などが原料になってまして、
それが長年時間をかけて鉱物となったものです。
主成分はモンモリロナイトです。
また新しい名前が出てきましたけど、
猫砂が水を吸って膨らんでくれるのは、ベントナイトの主成分、モンモリロナイトのおかげなんです。
地球が長い時間をかけて作った天然の機能性材料とも言えますね。
モンモリロナイトの構造:ミルフィーユとサンドイッチ
ではなぜこのベントナイトが水を吸って膨らむのか、主成分のモンモリロナイトの構造を見てみます。
こういう岩石とか金属の結晶というものは、原子がきれいに並んだ結晶構造という形で見ていきます。
モンモリロナイトはものすごく薄い板のような結晶が重なった構造をしてまして、
イメージはミルフィーユでしょうか。薄い層が何枚も重なっています。
このミルフィーユみたいな一層一層をもっと細かく見ていきますと、さらにサンドイッチみたいな構造になっています。
一旦覚えなくていいんですけど、簡単にサンドイッチの構造を話します。
サンドイッチの真ん中がアルミニウムや水酸基でできた8面体シート。
その8面体シートの上下を、ケイ素と酸素からなる四面体シートで挟みます。
結局のところ、ミルフィーユみたいな構造になっていて、その一層一層がまたサンドイッチみたいな構造になっていると思っていただければ大丈夫です。
そしてこのサンドイッチ、ちょっとマイナスの電荷を帯びています。
真ん中の8面体シートのところはアルミニウムが入っているんですけど、そのアルミニウムが一部マグネシウムに置き換わっちゃってまして、そのおかげでちょっとプラスの電化が足りなくなっています。
細かい話は抜きにして、アルミニウムが3プラスなのに対してマグネシウムが2プラスなので、ちょっとプラスが少なくなるんですよね。
そうするとサンドイッチ一つの単位ではマイナスの方に電荷が偏ってしまいます。
だから電荷の偏りをプラマイゼロにするために、今度はサンドイッチとサンドイッチの間にプラスのイオンが入っています。
ナトリウムとかカルシウム、カリウムとかマグネシウムもいろいろあるんですけど、間にプラスのイオンが入ることで、モンモリロナイト全体としてプラマイゼロに落ち着かせています。
岩石とか金属ってこういうややこしいことがあるから私は苦手なんですよね。
改めてベントナイトの主成分、モンモリロナイトの構造をおさらいしますと、全体で見るとミルフィーユみたいな層状の形になっています。
その層の一層一層はサンドイッチみたいな3層の構造になっています。
そしてサンドイッチの間にはプラスのイオン、陽イオンが存在します。
ベントナイトが水を吸って膨らむ仕組み
モンモリロナイトの形がわかったのはいいんですけど、その形がなんで水を吸ったときに膨らんで固まるかっていう話をします。
モンモリロナイトのサンドイッチみたいな一層一層の間にはナトリウムとかカルシウムみたいなプラスのイオンがいます。
そのプラスのイオンの周りに水分子が集まってきます。
これを水和と言うんですけど、こうして水和することによってサンドイッチ同士の間にいっぱい水が入り込みます。
入って入ってどんどん膨らんできます。
これがベントナイトの膨潤です。
サンドイッチとサンドイッチの間に入れるプラスのイオンの種類によって特徴が変わるんですけど、
ナトリウム型のベントナイトは間を引きつける力が弱いので、水が入り込むと簡単に膨らんでいきます。
猫砂の場合はこの膨らんでくれるのが助かります。
水が入って水和した部分っていうのは固くて粘り気を出しますので、単純に膨らむだけじゃなくて固まってくれるという効果があります。
そこに消臭とか抗菌のような猫の排泄物の嫌な部分をなくしてくれるような機能を持たせて猫砂として使われていると思います。
猫砂以外のベントナイトの用途
猫砂の用途でベントナイトを紹介したんですけど、もちろんそれだけの用途ではないです。
結構工業用途でも使われています。
代表的なところとしては鋳物があるみたいですね。
鋳物っていうのは溶けた金属を型に流し込んで形を作るような金属加工の方法なんですけど、その型を作るときに砂を固めないといけないんです。
そこでベントナイトが粘結剤という固めるものとして使われます。
砂とベントナイトと水を混ぜると砂粒同士をつなぐ役割をしてくれるということで、これによって型としての形を保ちやすくなる特徴があります。
やってることは猫砂にちょっと似てますね。
その他には建設や土木の分野だとベントナイトがそもそも水を吸って膨らみますので、水の透過を防ぐような用途で使われます。
側面の壁が崩落するのを防いだり、水が漏れてくるのを防いだり、いい特徴を持っているのですごく便利ですよね。
ベントナイト製造の裏側:湿度管理の重要性
今回は共通テーマ猫に合わせてベントナイトの話をしてみました。
便利な特徴を持っているんですけど、この鉱物を作る側って考えてみましたでしょうか?
水を吸って固まるということは製造している時に水があったらダメってことですよね。製品として使えなくなってしまいます。
だから結露とかすごく気を使うんだろうなーっていうのは感じました。
それこそ#86で身近な湿度を説明できるっていう話をしました。
その時に湿度を露点という指標で表現したんですけど、
多分ベントナイトを使った猫砂の製造工程っていうのは露点で管理されて、なるべく水分が少ないように作ってるんじゃないかなと思っています。
真意は定かではないんですけどね。予想です。
まとめとイベント告知
ということでドタバタグッドボタンさん、面白いテーマをありがとうございました。
今回はここまでです。
プラントライフでは化学や工場に関するトピックを扱っています。
配信は水曜日と日曜日の朝6時です。
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そして5月16日の土曜日、兵庫県神戸市のカフェアイドルチェにてリアルイベントに参加します。
その名もPodcast Mixer 2.0。
ポッドキャスターとリスナーの交流型のイベントですので、もし興味があれば来ていただいて一緒にお話をしましょう。
チケットがもう一桁みたいなので、お早めに予約をお願いします。
それではお聞きいただきありがとうございました。



