「湿度100%」と聞くと、空気の中が水でいっぱいになった様子を思い浮かべます。湿度100%の空気は、本当に水だらけなのでしょうか?そもそも、何が100%なのでしょうか?

湿度100%は「空気の100%が水分」という意味ではありません。湿度は、空気が取り込める水蒸気の限界量に対して、いま何%まで入っているかを表す割合です。湿度100%は「これ以上は取り込めない」という満杯の状態であって、空気が水に置き換わった水槽のような状態であるわけではありません。霧の中がまさに湿度100%の状態ですが、歩けますし、息が苦しくなることもありません。

湿度100%は空気が水になった状態ではなく、水蒸気をこれ以上取り込めない状態です。

空気が取り込める水蒸気には限界がある

湿度の話は、「空気は水蒸気を無限には取り込めない」という前提から始まります。空気が取り込める水蒸気の量には上限があり、その上限を決めるのは温度です。温度が高いほど多く取り込め、低いほど少なくなります。ある温度の空気1 m³が取り込める水蒸気の最大量を「飽和水蒸気量」と呼びます。

温度が上がるほど飽和水蒸気量が曲線的に増えるグラフ
出典:気象庁「気象観測ガイドブック」p.35

ここで言う水分は、液体の水ではなく気体の水蒸気です。空気は、水を目に見えない気体の状態で取り込んでいます。

湿度は、この飽和水蒸気量を限界値として、いま空気中に水蒸気がどれだけあるかを割合で示す指標です。専門用語では「相対湿度」と呼ばれます。

  • 湿度0%:空気中に水蒸気がない状態
  • 湿度50%:その温度で取り込める量の半分まで水蒸気が入っている状態
  • 湿度100%:これ以上は水蒸気を取り込めない状態

100%は空気全体ではなく、その温度で取り込める水蒸気の限界量を指します。

同じ大きさの容器3つで、湿度0%は空、50%は半分、100%は満杯まで水蒸気が入っている様子を示す模式図
容器の大きさ(限界)は、温度で変わります。

では、限界を超えて水蒸気が増えたらどうなるのでしょうか。実際にはあまり使わない言い方ですが、仮に「湿度120%」の状態になったとすると、100%を超えた分は空気中に留まれず、液体の水として出てきます。このとき、細かい水滴が空気中に漂う現象が霧です。

湿度が「限界に対する割合」だと分かると、季節の感覚も説明できます。基準になる飽和水蒸気量が温度で変わり、同じ湿度50%でも、温度が高い夏と低い冬では空気中の水蒸気の量が違うからです。夏の方が取り込める上限が大きいので、同じ湿度50%でも空気中の水分の絶対量は夏の方が多くなります。

逆に冬は、湿度50%や60%と聞くと水分がありそうに感じますが、上限そのものが小さいため、実際の水分量は少なめです。冬に喉が乾燥しやすいのはこのためです。

同じ湿度50%でも10℃と30℃では空気中の水蒸気量が異なるグラフ
同じ50%でも、暖かい空気の方が水蒸気の量は多くなります。
出典:気象庁「気象観測ガイドブック」p.35

それなら、空気中の水分の絶対量をそのまま表す指標はないのでしょうか?空気1 m³に含まれる水蒸気の質量で表す「絶対湿度」という考え方があります。よく使われる指標は露点(ろてん)です。

いまの空気を冷やしていったとき、結露が始まる温度が露点です。空気を冷やしても、含まれている水蒸気の量は変わりませんが、飽和水蒸気量は温度が下がるほど小さくなります。空気を冷やすほど湿度は50%、60%と上がっていき、100%に達したところで結露が始まります。このときの温度が露点です。

もともと水蒸気が少ない空気ほど、100%に達するまで深く冷やせるので、露点は低くなります。つまり露点は、空気中の水分の絶対量を温度で表現した指標です。

30℃・湿度50%の空気を冷やすと約18℃の露点で飽和水蒸気圧と重なり結露が始まるグラフ
30℃・湿度50%の例では、露点は約18℃です。
出典:気象庁「気温、湿度」、IAPWS IF97

温度と湿度が分かれば、露点を計算できます。逆に、温度と露点が分かれば湿度も計算できます。

化学工学では、湿度図表で乾燥や調湿を計算する

化学工学では、空気の温度と湿度、露点などの関係を「湿度図表」という図に表し、乾燥や調湿(空気の湿度の調節)の装置の計算に使います。たとえば冷却減湿装置では、空気を露点より低い温度の面に触れさせて冷やし、水蒸気を水にして取り除きます。

まとめ

湿度は、空気が取り込める水蒸気の限界量(飽和水蒸気量)に対する割合です。そして、限界量は温度で変わります。同じ湿度でも季節によって水分の絶対量は違い、絶対量を知りたいときは露点を使います。