「湿度100%」と聞くと、空気の中が水でいっぱいになった様子を思い浮かべます。湿度100%の空気は、本当に水だらけなのでしょうか?そもそも、何が100%なのでしょうか?
湿度100%は「空気の100%が水分」という意味ではありません。湿度は、空気が取り込める水蒸気の限界量に対して、いま何%まで入っているかを表す割合です。湿度100%は「これ以上は取り込めない」という満杯の状態であって、空気が水に置き換わった水槽のような状態であるわけではありません。霧の中がまさに湿度100%の状態ですが、歩けますし、息が苦しくなることもありません。
空気が取り込める水蒸気には限界がある
湿度の話は、「空気は水蒸気を無限には取り込めない」という前提から始まります。空気が取り込める水蒸気の量には上限があり、その上限は温度で決まります。温度が高いほど多く取り込め、低いほど少なくなります。ある温度の空気1 m³が取り込める水蒸気の最大量を「飽和水蒸気量」と呼びます。

ここで言う水分は、液体の水ではなく気体の水蒸気です。空気が取り込んでいるのは、目に見えない気体の状態の水です。
湿度100%は「限界に対して100%」
湿度は、この飽和水蒸気量を限界値として、いま空気中に水蒸気がどれだけあるかを割合で示す指標です。専門用語では「相対湿度」と呼ばれます。
- 湿度0%:空気中に水蒸気がない状態
- 湿度50%:その温度で取り込める量の半分まで水蒸気が入っている状態
- 湿度100%:これ以上は水蒸気を取り込めない状態
100%は空気全体ではなく、その温度で取り込める水蒸気の限界量を指します。
では、限界を超えて水蒸気が増えたらどうなるのでしょうか。実際にはあまり使わない言い方ですが、仮に「湿度120%」の状態になったとすると、100%を超えた分は空気中に留まれず、液体の水として出てきます。このとき、細かい水滴が空気中に漂う現象が霧です。
霧の中も湿度は100%です。服は濡れますが、歩けますし、溺れることもありません。
同じ湿度50%でも、夏と冬では水分量が違う
湿度が「限界に対する割合」だと分かると、季節の感覚も説明できます。基準になる飽和水蒸気量が温度で変わるため、同じ湿度50%でも、温度が高い夏と低い冬では空気中の水蒸気の量が違います。夏の方が取り込める上限が大きいので、同じ湿度50%でも空気中の水分の絶対量は夏の方が多くなります。
逆に冬は、湿度50%や60%と聞くと水分がありそうに感じますが、上限そのものが小さいため、実際の水分量は少なめです。冬に喉が乾燥しやすいのはこのためです。

出典:気象庁「気象観測ガイドブック」p.35
水分の絶対量は「露点」で表す
それなら、空気中の水分の絶対量をそのまま表す指標はないのでしょうか?空気1 m³に含まれる水蒸気の質量で表す「絶対湿度」という考え方があります。よく使われる指標は露点(ろてん)です。
いまの空気を冷やしていって、結露が始まる温度を露点と言います。空気を冷やしても、含まれている水蒸気の量は変わりません。一方で、飽和水蒸気量は温度が下がるほど小さくなります。空気を冷やすほど湿度は50%、60%と上がっていき、100%に達したところで結露が始まります。このときの温度が露点です。
もともと水蒸気が少ない空気ほど、100%に達するまで深く冷やせるので、露点は低くなります。つまり露点は、空気中の水分の絶対量を温度で表現した指標です。

出典:気象庁「気温、湿度」、IAPWS IF97
温度と湿度が分かれば、露点を計算できます。逆に、温度と露点が分かれば湿度も計算できます。
まとめ
湿度は、空気が取り込める水蒸気の限界量(飽和水蒸気量)に対する割合です。湿度100%は空気が水になった状態ではなく、水蒸気をこれ以上取り込めない状態です。
そして、限界量は温度で変わります。同じ湿度でも季節によって水分の絶対量は違い、絶対量を知りたいときは露点を使います。