炭火で焼いた肉は、表面に香ばしい焼き目が付き、中には肉汁が残ることがあります。外と中で、仕上がりが違うのはなぜですか?
表面が強く熱せられる一方、中心まで熱が伝わるには時間がかかるからです。
表面に届く熱と、内部に伝わる熱
炭火から出る赤外線が肉の表面に届き、吸収されて熱に変わります。この熱の伝わり方が放射です。

熱くなった網から、触れている肉へ直接熱が移るのが伝導です。周りの熱い空気の流れも肉へ熱を運びます。これが対流で、炭火焼きでは3つの伝熱が一緒に働いています。
焼き色や香ばしい香りを生む反応の一つが、肉に含まれる糖とアミノ酸などが反応するメイラード反応です。表面を高温にすると、この反応が進みます。
一方、表面から中心へ熱が伝わるのは、主に熱伝導です。中心の温度は遅れて上がるため、表面の焼き色と内部の火の通り方は同じではありません。
焼き目は、肉汁を閉じ込めるふたにはなりません。肉汁を残すうえで大切なのは、内部を加熱しすぎないことです。加熱が進むほど、水分が蒸発したり外へ流れ出たりして失われます。
食中毒を防ぐため、肉は中心まで十分に加熱してください。
化学工学では、熱の通り道を設計する
化学工場でも、「どこから、何を通って熱が伝わるか」を考えて装置を設計します。その代表が、温度の違う液体などの間で熱を移す熱交換器です。
例えばプレート式熱交換器は、薄い金属板を挟んで、熱い液体と冷たい液体を交互のすき間に流す装置です。

液体の流れが板まで熱を運び、板の中を熱伝導で通り抜けた熱を、反対側の液体が受け取ります。液体側の対流と、金属板を通る伝導の組み合わせです。
板の面積や厚さ、液体の流れ方を調整して、必要な量の熱を移します。
まとめ
炭火焼きでは、表面へ熱を届ける放射・伝導・対流と、内部へ熱を伝える伝導が組み合わさっています。表面と内部の温まり方を分けて考えることが、焼き加減の理解にも、工場の熱交換器の設計にもつながります。

