冬のハチミツは、容器を傾けてもなかなか流れません。温めると流れやすくなるのは、なぜですか?

温度が上がると、液体の流れにくさを表す粘度が下がるからです。

温度で変わる、流れにくさ

液体が流れるときは、隣り合う部分がずれながら動きます。この動きに対する抵抗の大きさを表すのが粘度です。

液体の分子どうしには、互いに引き合う力があります。温めると分子の運動が活発になり、その力に逆らって互いの位置を変えやすくなるため、流れるときの抵抗が小さくなるのです。

ハチミツも、温度を上げると粘度が下がる液体の一つです。反対に、冬の寒さで温度が下がると、同じハチミツでも流れにくくなります。

冬にハチミツや油が流れにくくなる理由を、温度の低下と粘度の上昇で説明した図
同じハチミツでも、温度によって流れやすさが変わる

白く固まったハチミツでは、液体の粘度に加えて、ブドウ糖の結晶も関係しています。温めて結晶を溶かすことと、液体そのものの粘度を下げることは、別の変化です。

化学工学では、送る温度も決める

工場で液体をタンクから別の場所へ送るときも、粘度が問題になります。配管を通る液体の抵抗を見積もり、必要な流量を送れるポンプを選ぶためです。

粘度の高い液体は配管で送りにくく、送る時間が延びることを示す図
ポンプは、実際に送るときの温度と粘度に合わせて選ぶ

例えば、粘度が一定の液体が配管内を層状に流れる場合、同じ配管に同じ流量を送るための圧力差は粘度に比例します。冷えて粘度が高くなるほど、押し流すのに大きな圧力差が必要です。

そこで、装置だけでなく、液体を何度で送るかも決めます。ハチミツの製造にも、瓶詰めの際に温めて流れやすくする例があります。

ただし、食品では風味などの品質を保てる範囲で、扱いやすい温度を選ぶことが大切です。

温度や力の加え方によって、ものの流れ方や変形がどう変わるかを扱う分野がレオロジーです。

まとめ

ハチミツは温度が上がると粘度が下がり、流れやすくなります。工場でも、実際に扱う温度での粘度を知ることが、液体を送る装置と条件を決める出発点です。