台所の蛇口は、ハンドルやレバーを動かす量で、水の勢いを細くも太くもできます。ガスの元栓は、つまみを回して開けるか閉めるかで使い、火の強さはコンロのつまみで変えます。どちらも流れを止めたり通したりする「バルブ」ですが、何が違うのでしょうか?

ガスの元栓は0%か100%の開け閉めだけ、水道の蛇口は開ける量を0%から100%の間で調節することを、左右に並べて比べた図
ガス栓は、使うときにつまみを全開にする(日本ガス石油機器工業会「ガス栓・ガス接続具の安全な使い方」)

蛇口は、開き具合を加減して、流れる水の量を変えるバルブです。ガスの元栓は、全開か全閉にして使うバルブで、途中まで開けて量を加減するものではありません。

蛇口は流れを絞って量を調節し、ガスの元栓は開け閉めだけをします。

通り道を絞ると、流れにくくなる

水道の水は、水圧に押されて蛇口まで来ています。ハンドルを回すタイプの蛇口では、開く向きに回すと、中のコマという部品が上がって水の通り道ができます。少しだけ回したときは通り道が狭く、水が通りにくいので、流れる量は少しです。

流れが狭い所を通り抜けるとき、押す力(圧力)の一部が失われます。化学工学では、これを圧力損失と呼びます。バルブは、開き具合で圧力損失を増やしたり減らしたりして、流れる量を変える道具です。

ハンドルを回すタイプの蛇口は、作りの上では玉形弁(たまがたべん)というバルブの仲間で、流れを絞って量を調節するのに向いています。

一方、ガスの元栓(ガス栓)は、コックと呼ばれる作りで、つまみを90度回して開け閉めします。使うときは全開にし、火の強さはコンロのつまみで加減するのが正しい使い方です。

元栓のつまみを中途半端に開けて使うと、安全装置が正しく働かないことがあります。新しいガス栓には、途中まで開けてもガスが出ない作りのものもあります。

化学工学では、測りながら調節弁を動かす

化学工場の配管にも、開け閉めに使うバルブと、流れを絞って量を調節するバルブがあります。流れる量を自動で加減するバルブが、調節弁です。

蛇口を使うときは、出てくる水を見て、多すぎれば少し閉め、少なければ少し開けます。工場では、同じことを機械が自動で続けています。流量計で流れの量を測り、目標の値と比べて、ずれを小さくする向きに調節弁の開き具合を変えるしくみです。

測った結果を、弁の動かし方を決めるのに戻して使うので、このやり方をフィードバック制御と呼びます。

測る、比べる、動かすの3つを矢印でつないだ輪と、状態を見ながら調節するフィードバック制御は蛇口を少し閉めるのと同じ、と書いた図
化学工学便覧(改訂六版 24・2)は、測る所を検出部、比べる所を比較部、動かし方を決める所を調節部と呼ぶ

人は制御室で目標の流量を決めるだけです。あとは制御システム(DCS)が、流量計の値を読みながら、調節弁に開き具合を指示します。

人が値を決めると、DCSが流量計の値を読み、調節弁に開き具合を指示する流れを示した模式図
調節弁は、空気の力などで弁を動かして開き具合を変える(改訂新版 世界大百科事典「バルブ」)
身近な化学工学水道メーターは、どうやって数えるの?水道メーターは、水の流れで羽根車を回し、回った数から使った水の量を出します。流量を測るしくみを説明し、工場で測った値を4〜20mAの電気の信号で制御室へ送る計装につなげます。

まとめ

蛇口は通り道の広さを変えて流れる量を調節し、ガスの元栓は全開か全閉で、流れを通すか止めるかを決めます。工場では、流量を測りながら調節弁の開き具合を自動で変え、流れを目標の量に保っています。