エアコンの室内機の前のパネルを開けると、奥に薄い金属の板がびっしり並んでいます。室外機の裏側にも、同じような板が見えます。なぜこんな形をしているのですか?
空気と触れる面積を広げて、空気との間で熱をやりとりしやすくするためです。
熱の受け渡しは面積で変わる
エアコンは、冷媒という物質に熱を運ばせています。冷房のときは、室内機で部屋の空気から熱を受け取り、室外機で外の空気にその熱を渡します。

熱を受け渡すのは、室内機と室外機の中にある熱交換器です。冷媒が流れる銅などの管の壁を通して、管の中の冷媒と外の空気の間で熱が移ります。
このとき移る熱の量は、熱の伝わりやすさ、熱が通る面積、温度差の3つを掛け合わせて決まります。
ところが空気は、水などの液体に比べて、管の表面と熱をやりとりしにくい相手です。工場の熱交換器の目安でも、空気と水で熱をやりとりする場合の伝わりやすさは、水どうしの数分の1から数十分の1しかありません。
伝わりにくさを補うのが面積です。管に薄いアルミの板をたくさん取り付け、空気に触れる面積を広げています。この板をフィンと呼びます。

ただし、板の間隔を詰めるほど、空気は通りにくくなります。ほこりやごみで吸い込み口がふさがると風量が落ち、電気も余計に使います。
化学工学では必要な面積を計算する
工場の熱交換器も、同じ3つの掛け算で大きさを決めます。移したい熱の量と、熱の伝わりやすさ、温度差が分かれば、必要な面積を計算できるのです。
液体どうしで熱をやりとりするシェル&チューブ式では、太い胴の中に、たくさんの細い管を通します。管の表面が熱の通り道なので、管の数を増やすほど面積が増えます。

空気で液体やガスを冷やす工場の熱交換器も、エアコンと同じくフィンを使います。管の外側にフィンを付けた束に、ファンで外の空気を送る方式です。工場用の例では、フィンを付けた管の表面積は、フィンのない管のおよそ17倍になります。
まとめ
エアコンの薄い板は、熱をやりとりしにくい空気と触れる面積を広げるためのフィンです。工場でも、熱の伝わりやすさと温度差から必要な面積を求め、管の本数やフィンで面積を確保しています。

