薬局やドラッグストアには、「精製水」と書かれた水が売られています。見た目は、水道水と変わらない透明な水です。精製水は水道水と何が違い、どうやって作るのでしょうか?

精製水は、薬の品質を定めた日本薬局方で、作り方と品質が決められた水です。水道水の水質基準に合う水を原料に、イオン交換や蒸留、逆浸透などで、溶けているイオンなどを取り除いて作ります。

精製水は、水道水に溶けているカルシウムなどのイオンを取り除いた水です。

イオンを入れ替えるか、膜で止める

水道水には、カルシウムやナトリウムなどの陽イオンと、塩化物イオンなどの陰イオンが溶けています。全国1,564か所の水道水を調べた研究では、1リットルあたりの平均で、カルシウムが約15mg、ナトリウムが約11mg溶けていました。

これを取り除く方法の一つが、イオン交換樹脂です。陽イオン交換樹脂は水素イオンを、陰イオン交換樹脂は水酸化物イオンを持っていて、水の中の陽イオン・陰イオンと入れ替えます。出てきた水素イオンと水酸化物イオンは、合わさって水になります。

プラスとマイナスのイオンを含む水が、樹脂の粒を詰めた容器を通ると、イオンが粒にとらえられ、きれいな水が出てくる図
参考:三進製作所 技術研究所「イオン交換樹脂と純水製造」

もう一つが、水は通し、溶けたイオンはほとんど通さない逆浸透膜です。イオンの少ない水と多い水を膜で仕切ると、水は少ない側から多い側へ移ります(浸透)。多い側に浸透圧より大きな圧力をかけ、イオンを残して水を逆向きに押し出すのが逆浸透です。

イオンを含む水に左から圧力をかけると、水の粒だけが膜を通り抜けて右側に移り、右側にきれいな水がたまる図
膜の手前に残ったイオンは、濃くなった水(濃縮水)と一緒に流し出す

イオンが減った水は、電気を通しにくくなります。日本薬局方は、精製水が電気をどれだけ通すか(導電率)に上限を決めていて、イオンの残り具合を確かめています。

化学工学では、純水装置で作る

工場や実験室では、イオンを取り除いた水を一般に純水と呼びます。精製水の作り方も、工場の純水と同じです。薬局の精製水には、逆浸透膜とイオン交換樹脂を通した純水を、さらに高温で処理したと説明している製品もあります。

蒸気を作るボイラーの給水からも、カルシウムなどのイオンを取り除きます。水が蒸発し続けるボイラーでは、これらが中で濃くなり、管の表面に付いて熱を伝えにくくするからです。

薬の工場でも、シロップや塗り薬などを作る水に、精製水を使います。

工場の純水装置でよく使われるのは、陽イオン交換樹脂を詰めた塔と、陰イオン交換樹脂を詰めた塔に、順に水を通す形です。逆浸透膜で大部分のイオンを先に取り、残りをイオン交換樹脂で取る組み合わせもあります。

樹脂は、持っていた水素イオンや水酸化物イオンを出し切ると、それ以上はイオンを取れなくなります。そこで、陽イオン交換樹脂には酸を、陰イオン交換樹脂にはアルカリを流して、もとの形に戻すのが再生です。

まとめ

精製水と水道水の違いは、溶けているイオンなどを取り除いたかどうかです。取り除くしくみは、工場で純水を作るイオン交換や逆浸透と同じです。